すべてがFになる

14 歳のとき両親殺害の罪に問われ、外界との交流を拒んで孤島の研究施設に閉じこもった天才工学博士、真賀田四季。教え子の西之園萌絵とともに、島を訪ねたN 大学工学部助教授、犀川創平は一週間、外部との交信を断っていた博士の部屋に入ろうとした。その瞬間、進み出てきたのはウェディングドレスを着た女の死体。そして、部屋に残されていたコンピュータのディスプレイに記されていたのは「すべてがFになる」という意味不明の言葉だった。
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どこかでおもしろいと聞いたので読んでみました。
50人以上の人が同じ場所で働きながら、他者との接触がない研究所。機械による認証がなければ開けないドア。15年間部屋から外に出たことがない「天才」。完全なる密室で起こった、殺人。など異質な事件の謎を解くのも勿論面白いですが、完全なるイントラネットによって「悪質コード混入の廃絶」や犀川の「ネットワークに繋がれば職場はどこでも構わない」など、ネットワークがらみの話も大変興味深いです。もっとも10年近く前の作品なので、Macintoshの型がSEとかplusとか使ってて時代を感じさせたりしますけど。
さて、ここからは読んでるときに建てた僕の推理でも書いておこうと思います。ネタバレですので、文字を反転させてお読みください。キーワードリンクだけは残しておきますが、何のことだかさっぱり分からないでしょう。

  • 両手両足が切断されていることから、これは殺人である。しかし四季の部屋の出入りは監視されていており「誰も入っていない」ということ(もしくはビデオの管理人が消した)が分かる。つまり「事件のずっと前から入っていた人間が犯人」であり犠牲者でなければなりません。
  • 「すべてがFになる」という意味は最初のBとDの時点で分かってました(プログラミングしてればよく出てくるので)。重要なのはY2Kの方ですが、たまたま最近やってたピンボールゲームでInt32型の限界までしかスコアが伸びないという話があって、それですぐにY2Kだなぁ、と気付きました。つまり研究所のシステムを崩壊させた犯人は、外部コードの侵入が不可能なred magic(現在の研究所で使われているのはver.4)をソースレベルでいじくることができた人間、つまり四季である。四季の部屋に出入りできる何かしらの抜け道(例えば四季の認証)がソースコードで作ってあれば、殺害&逃走も可能となる。まさにバックドア
  • では発見された死体は誰なのか、となる。
  • ここで四季の死体発見と入れ替わりに現れた未来に注目する。彼女は四季の妹でありながら、見た目は四季よりも上であった。つまり未来として現れた人間こそが四季であり、殺されているほうが未来とすればいい。

そのくらいです。何故新藤が殺されたのかを考えればもう少し真相に迫れたと思うのですが…。
理系+マック+ミステリー好きにはつぼに入ると思います。オススメ。